「抱き締めてるだけだ」

「だ‥だからそれを言ってるの‥ちょっと暑いから‥」


嘘ついた。ほんとはちょっと寒い。
でもこんな状態で抱き締められたら私が持たないと思ったから。


私はそっと奏から離れた。


「なぜ離れる。俺は寒い」

「っ‥!」


腕を掴まれれば抵抗は出来ない。
ほんとはね、こうしてずっとくっ付いて奏を感じていたいんだよ。


そんな本音は口が裂けても言えないけど、その気持ちが少しでも伝われば良いと、


私は奏の胸に顔を埋めた。


(顔‥‥熱い‥)


奏に抱き締められ、ナツくんは私にくっ付く。
1つの布団で温まりながら寝るのは何年ぶりだろう。


(心地良い‥)