「死んじゃったんだよ?!助かるかもしれなかったのに!見捨てたんだよ?!」

「倒れていた2人を見ただろ。血の気がなかった」

「でも死んじゃったんだよ!!!訳も分からない黒いものに殺されたんだよ!?」

「お前が死んだらどうする!月夜が死んだら俺はどうすればいい」


奏は怖がっていた。自分が死ぬことよりも私が死んでしまうことを怖がっていた。


微かに震える奏の手、震えた口調からは心からの叫びが聞こえた。


慰めたいのか、ただ自分が安心したいだけか定かではない。


気づけば私は、自分に覆いかぶさるように阻止した奏を抱き締める事しか出来なかった。


悲しいのか、寂しいのかよく分からない涙が静かに流れていくだけだった。