「私が八乙女舞をする事はこの先あるのかな」

「さあな」


その瞬間稲光とともに割れるような大きな雷の音が聞こえた。


「落ちたな」


頷きながら、私はふと襖の隙間から外の景色を覗いた。


(誰か倒れてる‥‥?)


「お爺ちゃん‥!お婆ちゃん‥!!」


何で裏の世界に2人が?!
勢いよく襖を開け2人に駆け寄ろうと私は立ち上がった。


「ばっ‥!!開けるな!!」


奏では覆いかぶさるように私を阻止した後襖をお札で閉じてしまった。

隙間から見える光景はとても悲惨だった。

血の気のない2人は、何か黒いものに飲み込まれ消えてしまった。


(どう言う事?)


さっきから起こる現実が分からない。
お爺ちゃんとお婆ちゃんは死んじゃったの?

私の唯一の家族‥‥。

そもそも何で2人が裏にいるの?


「飲み込まれたか」

「なんで?2人は‥死んじゃったの?どうして?何で裏にいるの?!ねえ?!」


何も言わない奏ではそうだと言うように私から目を逸らした。