「よっ、楓摩。」

「おう、おはよ。」

医局に行くと、先に来ていたらしい陽向がやってきた。

「今日、だっけ?朱鳥ちゃんの結果が出る日。」

「うん、今から見る所。」

「そっか…、俺も見ていいか?」

「うん、いいよ。」

正直言って、結果を見るのは怖い。

恐る恐る、検査結果が出てるページを開く。

結果は……






”陽性”





「楓摩……」

「うん、わかってる……」

現実を受けとめて前に進まなきゃいけない。

そう、受け止めなきゃ……

現実を……

ポロッ

涙がこぼれた。

なんで……

なんで朱鳥なんだよ……

朱鳥は、何も悪くないだろ!?

嫌だ……

こんな現実受け止めたくない!!

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!?

「楓摩、落ち着け…」

「なんで?なんで、朱鳥なんだよぉ……」

なんで、こんなに取り乱してるんだろう……

自分でも制御が効かない。

「楓摩、一旦落ち着け。ここじゃ、他のみんなに迷惑かけるから、こっち来い。」

「うん……」

そう言われて連れてこられたのは、屋上。

朝のこの時間には、まだ誰もいない。

「楓摩、大丈夫か?」

陽向が缶コーヒーを買って、持って来てくれた。

「うん……ごめん。」

「少しは落ち着いたか?」

「うん、ありがと……」

「やっぱり、陽性だったな…」

「……しかも、かなり進行しててさ…………ステージ3だった」

「……っ!?ステージ3……。そっか……」

ステージとは、進行具合を示すもので、ステージ3の5年後の生存率は25~40%

半分よりも少ない……

なんで朱鳥なんだろう

朱鳥は、何も悪いことしてないのに……

今は、そんな事しか考えられなかった。