楽しい時間は、あっという間に過ぎていく……

そんな事ない…と、思ってたけど本当にそうだった。

楽しかった一時帰宅も、今日で終わり。

明日には、検査の結果が出るらしい。

結果が悪ければ、そのまま入院……

怖いな…

このまま、眠ってしまったら明日になってしまう。

寝たくない。

楓摩は、私が寝た事を確認したら、リビングへ戻っていった。

きっと、楓摩の事だからお仕事でもしてるのだろう。

さっきから、ずっと目を瞑って考えているが、考える度に怖さが増してくる。

自然と涙が流れてきて、顔がぐしゃぐしゃだ。

こんな、泣き虫な自分、嫌だな……

弱い自分も嫌い。

もっと、何事にも負けなくて明るくて強い女の子になりたいな……

ガチャ

ドアから、楓摩が入ってきた。

急いで寝た振りをする。

楓摩は、私の隣に寝っ転がると、そっと私の頭を撫でた。

「いよいよ、明日だね…なんだか、俺まで怖くなっちゃうな……。でも、朱鳥の方が、怖いよね、不安いっぱいだよね…だからさ、泣きたいときは泣いていいんだよ?涙は貯めてちゃダメ、流したい時に流しておかないと自分が壊れちゃう。」

そういうと、楓摩は私のことをそっと抱き寄せた。

「朱鳥、こっち向いて?起きてるのバレバレだから(笑)」

やっぱり、楓摩には気づかれてしまったみたい。

そっと楓摩の方を向き直す。

「朱鳥、おいで」

楓摩の方に寄っていくと、いきなり、ギュッと抱きしめられた。

その温かさに、隠していたはずの涙がまた流れてきた。

「楓摩……怖い、怖いよ…。不安だよ……私、これからどうなるの?結果が悪かったら、私、死んじゃうの?私、死にたくないよ……まだ、学校にも行きたいし、楓摩ともお別れなんてしたくない!寝たくない……眠りにつくのが怖い。寝たら明日になっちゃう……そしたら…」

「俺も、怖いよ…朱鳥の方が何十倍も辛いはずなのにね……、でも、大丈夫。きっと、未来にはいい事がいっぱいある!毎日、笑って過ごせるような幸せな日々がくるから、ね?朱鳥が死ぬ訳ない、というか、死なせない。絶対に!絶対、手放さない。誰がなんと言おうと、朱鳥は俺のものだ!もう、離さないから!」

楓摩も、泣いていた。

私に負けないくらい顔をぐしゃぐしゃにさせて号泣していた。