ピピピピピッ♪ピピピピピッ♪

「何度だったー?」

なんだか見るのが怖かったので、自分では見ないで楓摩に体温計を渡す。

「おっ、36.3だ!下がってるね!これなら、今日の午後に退院できるよ!」

思わぬ吉報に心が踊る。

「ほんとっ!?家に帰れるの!?」

「うん、いいよ。よかった、朱鳥が元気そうで(笑)」

楓摩も嬉しそうだ。

「あと!明日も学校行ける?」

「うーん、それは……どうかな…」

期待していた分、悲しみも大きくなる。

「今回、高い熱出ちゃったしね…いつ、倒れてもおかしくないから、心配なんだ……だから、家にいてくれる?」

「……うん。帰れるだけで充分だよ…ごめんね。」

「ううん、こっちこそ。学校……行きたかったよな…、でも、朱鳥が今、頑張れば毎日学校にも行けるようになるし、いろんな所に連れて行ってあげられる。だから、今だけ頑張ってくれる?」

本当は、すごく学校に行きたかった。

でも、また病状を悪化させたら嫌だから…

また、倒れたら嫌だから…

今は、未来にある自由のために頑張るしかない。

そう、思えた。

「うん!私、頑張るよ!」