「ごめんね、朱鳥……。俺、どうかしてた。なんでも、暗く考えちゃって、朱鳥の気持ちなんて考えてなかった。一番辛いのは朱鳥なのにな……。朱鳥、泣いてもいいんだよ。一緒に泣こう?」

そういうと、朱鳥は、静かに涙を流し始めた。

「楓摩っ……怖い。怖いよぉ……。私、熱なんて出す人じゃなかった。風邪なんて引かないし、熱なんて出たことなかった。なのに……。自分が自分じゃないみたい。もう、やだよぉ……」

「怖いよね。ごめんね。嫌だよね。変わってやれるなら、変わってやりたいんだけどね。俺、朱鳥を励ます事しかできない。彼氏なのに、朱鳥の辛さもわかんない。ごめんね。彼氏失格だよね……」

「ううん。そんな事ない!私は、楓摩が励ましてくれるだけで充分だよ。それに、楓摩がいてくれるだけで……それに、楓摩が治してくれるんでしょ?それ以上に心強い事はないじゃん。楓摩…これからもそばにいて……そばにいてくれるだけで充分だから。」

「ありがとう。朱鳥……愛してる。絶対に守ってみせる。絶対に治してみせる。一緒に頑張って、それからいっぱい楽しい事しよう?一緒に住んで、いろんな所に行って、いっぱい、いっぱい笑って、幸せになろう?」

「うん。楓摩……愛してる。」




涙を拭き顔を見合わせる。




ゆっくりとその顔を近づけて




お互いに唇を重ねた。




窓からは、満天の星が覗いていた。