ある日、俺が医局で仕事をしていると、俺の元に1本の電話がかかってきた。

それは、前々から少し検討していた骨髄移植の事だった。

電話先は、日本骨髄バンク。

朱鳥の血液に合うドナーが見つかったとの事だった。

俺は、嬉しくて、椅子から立って、ひたすら、電話先の人にお礼を言った。

普通、骨髄移植はまず家族の中でドナーを見つけることが多いが、朱鳥の場合、それが居なかった。

それで、日本の骨髄バンクに登録している人の中から探してもらっていた。

それが、遂に見つかったのだ。

奇跡としか言いようがなかった。

俺は、近くにいた陽向に飛びついた。

嬉しくて、嬉しくて、興奮が止まらなかった。

骨髄移植をすれば、多分、白血病も治る。

その後も、薬は飲み続けないといけないかもしれないけど、それ以外は、普通の生活をさせてあげられる。

もう、病院に入院しなくてもいい。

そう考えると、本当に自分の事のように嬉しくて涙が出てきた。

「楓摩、良かったな。本当に良かった。」

陽向も、そう言ってくれた。

俺は、それから、すぐに朱鳥の病室へ向かった。

走り出したい気持ちを何とか抑えて、早足で向かった。