吐き気で目が覚めた。

私は、いつの間にか寝てしまったようで、枕には涙の跡が残っていた。

起き上がると、更に強い吐き気がした。

酷い車酔いの様な感じで、とても気持ち悪い。

ベッドの横の棚に、楓摩が置いてくれた桶があったはず。

手を伸ばしてそれを取り、そこに吐く。

「オエエ……ゲホッ…ゴホッ…………はぁ…はぁ……ウッ…オエエ………」

吐き出すと、吐き気が止まらなくなる。

もう、胃の中は空っぽなのに、まだ吐き気がする。

ナースコール押さなきゃ…

なんとか、ナースコールを押す。

"はい、どうされました?"

「……ゲホッ…き………もち…悪くて……はぁ…はぁ…………」

"少し待ってて下さいね。今、先生呼びますから。"

そう、看護師さんは言ったものの、中々来てくれない。

楓摩…忙しいのかな…………

でも、できるだけ早く来て…

辛いよ……

「ウッ…ゲホッ……ゴボッ…………はぁ…オエエ……はぁ…はぁ……」

気持ち悪すぎて涙が出てくる。

頭もクラクラするし、もう最悪……

その時

ガラッ

「朱鳥、ごめん、遅くなった!!大丈夫?」

息を切らしながら、楓摩が入ってきた。

「……ふ………ま…ゴホッ………………」

「朱鳥、大丈夫?すごい、吐いちゃったみたいだね……。少し、吐き気止めの点滴するから、痛いよー?」

腕に痛みを感じる。

「よし、おっけー。もうすぐ、良くなるはずだからね。…よしよし、辛いな……」

そう言って楓摩は手を握ってくれた。

少し時間が経って、吐き気も収まってきた。

「朱鳥、ちょっとだけ熱計ってもいい?」

コクン

声を出すことも辛く、私は、ただ頷くだけ。

ピピピピピッ♪

体温計がなって、楓摩に抜き取られる。

「うわっ、一気に上がったね……38.7もある……………朱鳥、冷えピタ使うか?」

私は迷うことなく頷いた。

吐き気は止まったものの、相変わらず気持ちが悪い。

頭はガンガンするし、体もフラフラする。

少しして、楓摩が冷えピタを持ってきてくれて、貼ってくれた。

冷たくて…気持ちがいい。

すると、楓摩はまた、手を握ってくれた。

「朱鳥、もう寝な。その方が楽だよ……」

楓摩は、そう言ってお腹をポンポンとリズムよく叩いてくれる。

お陰で私は、安心して眠りについた。