朝、病院に出勤すると……

「お、楓摩!!丁度いいところに!!今、でっかい交通事故があって、ヤバイくらい患者が運び込まれてるから、みんな救急に駆り出されてるんだ。お前も、早く来てくれ!!」

医局に着くなり、陽向がビッショリと汗をかいて、走り回っていた。

なんでも、病院の近くの道路で、バスと車3台が絡む大事故があったらしい。

それで、20人以上の患者が運び込まれているらしくて、スタットコールが掛けられたらしい。

スタットコールとは、病院内で緊急事態が発生した時に、担当を関係なく、病院内の医師が集められる事だ。

1年でも1回あるかないかの緊急事態だ。

俺も急いで着替えて向かうと、酷い有様だった。

救急部は、沢山の怪我人で埋まっていて、それでも、まだ次々と患者が運ばれて来ている様子だった。

俺も応援に加わり、次々と処置をしていった。

「清水先生!!小児の患者さんです!!こっちお願いします!!小林悠馬くん、5歳です。頭部を強く打った模様。意識レベル低下!!」

「わかった、すぐ診る!!」

次に運ばれて来たのは、5歳の男の子。

「悠馬くーん、わかる?わかったら手握ってー」

少しだけ手を握られる、意識はあるみたいだが、目の焦点があってない。

それに、貧血の症状も出ている。

脳の中で出血しているかもしれない。

やばいな……

「すぐに検査に回して!!検査結果が出しだい俺に報告して、多分オペになるから、準備もよろしく。」

「はい!!」

その後も、まだまだ患者が運ばれて来る。

軽傷の患者から重傷の患者まで。軽傷の患者は、捻挫とかで済んでいるが、重傷の患者は、複雑骨折していたり、バスや車の破片が体に刺さっている人もいる。

重傷の人から、診ていると。

「先生!!さっきの男の子、検査終わりました!!やはり、脳挫傷で内出血が見られます!!今、緊急オペの準備をしています!」

「わかった、すぐ行く。」

やっぱり、出血していたか、だったらこれは一刻を争う。

急いでオペ室に向かう。

執刀は、俺。

第一助手には、陽向も付いてくれている。

心強い。

それから俺は、5時間にも及ぶ手術を行った。