楓摩は、午前中までは仕事があるらしい。

だから、楓摩を待っている間は、楓摩に貰った小説を読んでいた

やっぱり面白い。

どのシーンにも読者を惹き付ける何かがあって、面白い。

最後のシーンでは、強い友情に感動して涙を流してしまった。

読んだ後も、また、なにか考えさせられた。

気付くと、12:00を過ぎていた。

もうすぐ、楓摩来るかな?

そう思ってたけど、なかなか来ない。

どうしたのかな?

忙しいのかな?

心配したけど、きっと楓摩の事だから、仕事が忙しいんだよな……

少し寂しい気持ちはあったが、テレビを見て、気を紛らわす事にした。

コンコンッ

ガラッ

「朱鳥ー、ごめん!急患来ちゃって、遅くなっちゃった、ごめんね!!」

「ううん、大丈夫だよっ!もう、帰れる?」

「うん、帰れるよ。朱鳥は、用意できた?」

「うん!もちろん、出来てるよっ!早く帰ろっ!」

「おう!」

楓摩は、病室に来た時はすでに私服で、いつもとは違うかっこよさが出ていた。

楓摩手を繋ぎ、病院を出る。

ナースステーションの前を通った時には、萌歌さんも、笑顔で手を振ってくれた。

「朱鳥ちゃん、楽しんできてねー!」

「はーい!」

私の心はウキウキだった。