「ゴホッ…ゲホッ……」

隣から、苦しそうな声が聞こえてくる。

どうやら、楓摩はインフルエンザらしい。

本当は、近くに居てあげたいけど、移るから近寄らないようにって言われちゃった……

それでも、やっぱり気になるので、そっとカーテンを捲り覗いてみる。

楓摩は、荒い息をしながら、眠っていた。

苦しそう……

顔も真っ赤で、汗をいっぱいかいている。

熱、下がらないのかな?

「……ぅぅ………………ゃだ………助けて……」

楓摩、うなされてる。

怖い夢でも見てるのかな……?

さっきよりも、息が荒くなってる。

陽向先生、呼んだ方がいいかな?

すると…

「……え…………楓摩?」

いきなり、それまで、モゾモゾと動いていた楓摩の動きが止まった。

目は開いているけど、どこか一点を見つめている。

それに、ピクッピクッと震えている。

「楓摩っ、大丈夫!?」

呼びかけてみるも、返事はない。

急いでナースコールを押す。

”前苑さん、どうされました?”

「ひ、陽向先生!!陽向先生をお願いします!!楓摩、楓摩がっ!!」

”えっ、あ、陽向先生!!前苑さんから……”

陽向先生?

気づいてくれたかな?

”朱鳥ちゃん、どうした?楓摩?”

「せっ、先生!!楓摩が、楓摩の様子がおかしいのっ!!」

”楓摩がっ!?わかった、今行くから、ちょっと待ってて!!”

怖すぎて、涙目になってしまう。

楓摩、死なないよね?

死んじゃったらどうしよう……

やだ……やだよ…………

楓摩…………

ガラッ
「朱鳥ちゃん!!楓摩はっ!?」

「陽向先生!!楓摩は、楓摩は死なないよね!?」

「あぁ、大丈夫だ。俺が何とかするから。」

そういうと、陽向先生は、楓摩に呼びかけたり、色々な事をしていた。

私は、ただそれを見守ってる事しかできなかった。

「痙攣してる……脳炎か…………やばいな。」

すると、陽向先生は、ナースコールで何やら頼んでいた。

すると、しばらくして、看護師さんが点滴を持ってきた、

楓摩……

大丈夫…………?

しばらくすると、陽向先生がやってきた。

「朱鳥ちゃん、ありがと。朱鳥ちゃんが気付いてくれてよかったよ。楓摩は、多分、インフルエンザ脳炎っていうのを引き起こしていて、それで痙攣しちゃったみたいだね。もう大丈夫だよ。」

「こ、怖かったぁ……楓摩、死んじゃうかと思った…………」

「大丈夫だよ。もう、心配ないからね。もしかしたら、また痙攣を起こす事はあるかもしれないけど、早く見つけられたから、重症化は防げたから、死ぬことはないよ。ありがと。」

「よかった……」

私は、ホッとして涙を流してしまった。

陽向先生は、それをみて、頭を撫でてくれた。