家に帰って一目散にベッドに転がり込む。
今日も一日頑張った。
今日も部員からは「ありがとう」の言葉を貰えなかった。たったそれだけなのに悲しい。
(彩華にLINE返さなきゃ…)
スマホを手に取りLINEを開くと見知らぬ人からLINEがきていた。

「谷口…優也?」

誰だろう…そう思いながらトークを開くと

『この前水道で話しかけたんだけどわかる?』

「あっ!あの球磨きの…」

まさか彼だとは…でもどうやって私のLINEを知ったのだろう。

『わかるよ!』

(文短いかなあ…)

『突然だけど、マネージャーの仕事いつもありがとな』

文を見た瞬間に涙が出てきた。
この言葉をずっと待ってたんだ。
心が軽くなるのを感じた。

『ううん…私失敗ばっかで迷惑かけてないかな…?』
『そんなことねーよ。みんな普段言わないだけで感謝してるよ』

涙が溢れて止まらない。
ありがとうを伝えたいのはむしろ私の方だ。

『ありがとう』

ありがとうってこんなに嬉しくて幸せな気持ちになるんだ…。
心に刺さったトゲがホロホロと抜けていった。

それから谷口君とLINEをし続け、いつしか彼のことを「優也」と呼ぶようになり、彼も私のことを「真由」と呼ぶようになった。