私は小さく言った。

「………………」

「早乙女さん。早く読んで?」

「ぁ、はい。」

それでも、私は読まなかった。
なぜなら、読めない漢字があったから。

「早乙女。」

ボソリと少し低い声がした。
南君だった。

「どうしたんだよ。」

「あ………」