「桜ちゃん、元気だしなよ。ね?」

 千歌ちゃんは、良く励ましてくれた。
 彼奴は、一度も来てはくれなかった。

『夢の中の夢』

その言葉が、一番合っている気がする。
彼奴が来るのは、『夢の中の夢』だった。
泣きたくても、泣くことさえできなかった。
 千歌ちゃんが帰って、一人になると、私はよく泣いていた。
 それも、全て、私のせいなのか?
 よく、自問自答しようとする。
 でも、何度も何度も考えたって、何も思いつかない。
 それどころか、『彼奴が悪い』と思わないと、生きていけなくなった。