謎は流しておしまい~迷探偵とやめたい助手~(仮)


キョロキョロと見渡す私の視線を遮るように
紅茶のいい香りが目の前に降りてくる。

「レモンがいい?ミルク?」

「そのままでいいです」

平らなカップはまさにティーカップ。
バラの蕾の絵柄がカップの中にも描いてあり
持ち手もニョロニョロがひょっこり顔を出してるような、細くくねった持ち手で、縁に広がるゴールドも綺麗。
高級感あふれてる。

なんかセレブ。

「探偵には紅茶だよね」

堂々と目の前に座り
笑顔でそう言う畑山さん。

彼に根拠はないだろう。
きっと
相棒の水谷豊さんの影響。
水谷さんは刑事だけどね。

あぁ成宮君。
あなたの相棒の時代が懐かしい。

いかん。またイケメンで頭がいっぱいになっている。

「履歴書を持ってきました」
美味しい紅茶を一口飲んでから
私は思いついたようにガサゴソと履歴書を黒の就活バッグから出して彼に渡すと

「ありがとう」って笑顔を見せ
「杏(あんず)ちゃんって言うんだ……可愛い名前だねぇ」って名前を確認しただけで、ポイっと自分のデスクの上に飛ばしてしまった。

えっ!
それでええんかいっ!