「ではここを風磨君」


授業中だった。

分からない問題でもなくて、俺は教科書に書かれている問題をノートに解き、導き出した答えを発言した。


「よし。では次は、吉田」


次にあてられた吉田は、「わかりません」と答えている。

…俺は、この吉田という人間を知らない。


…本当は、知っていたはずなのに。