魔法使い、拾います!

グレンは自分を振ったことを気に病むリュイに『今まで通り仲良くやろうぜ』と、言ってやれないことに引き際の悪さを痛感していた。

振られて傷付いているのはリュイも同じなのだ。その一言できっとリュイは癒されるはずなのに。小さい男だな……と、自己嫌悪で一杯だ。

「リュイ……。俺さ……。」

そう言うと、グレンはリュイを力一杯抱き寄せた。久しぶりに抱きしめるリュイの体の柔らかさと線の細さに、グレンはどきりとする。

「ちょっと……。グレン、苦しいよ。」

「ごめん。少しだけこのままで。」

グレンは更に腕に力を込めた。離したくないとばかりに。

「リュイを幸せにするのは俺だと思ってた。やっぱりどうしても俺じゃだめか?」

泣きそうな弱々しいグレンの声にリュイは胸が痛い。

「グレンごめんね……。離して……。」

その時グレンの片腕が掴まれた。リュイの体が解放される。

「誰だ!」

咄嗟に捕まれた腕の先を確認するグレン。リュイも不意に現れた人影を見上げた。

掴んでいた腕を乱暴に離しグレンを一瞥したのは、藍色のマントを羽織った魔法使いであった。右手に杖を持ったまま彼は不機嫌にグレンを見下ろす。

「失礼致しました。主が嫌がっているように見えたものですから。」

ヴァルはグレンへの怒りの眼差しを隠そうともせずに、心にもない謝意を述べた。