その日を境に、めきめきとヴァルの魔法は上達していき、洞窟での修行も十年目に差し掛かろうとした頃には、杖で七色の光を扱えるようにまでなっていた。
師匠のジョナはといえば、ヴァルが七色の光を操れるようになると王宮での王の守護職を優先させるようになり、月に何度かしか洞窟へは来なくなっていた。
ヴァルは洞窟での修行の間、ジャンとキャラ、そしてすやすやと眠っていたあの子のことを忘れたことなど一度もない。
七色の光を体得してからというもの、どうしても一目会ってお礼を言いたい。体得した高等魔法で、あの子とお揃いのペンダントを七色に変える所を見てもらいたい。という衝動に駆られるようになった。
その思いは日に日に増すのだが、ヴァルはあの時交わしたジョナとの約束を破ることにはなるのではと、会いに行くことをためらっていた。
しかし、『今後一切ティア以外の女を想うなど言語道断!』というジョナの言葉には、明らかに違反している。想うだけならこの約十年、ずっと眠り姫を想い続けているのだから。
ほんの数分間寝顔を見ただけの名前も知らない少女のことが、どうしても脳裏に焼き付いて離れない。ティアとは違うあの子への想いが、どうしても断ち切れない。
多分、そう遠くない将来、自分とティアは見習いを卒業し守護長として王都へ召還されるだろう。そして、ティアと結婚。だからあの子に会うのは叶わなくても、王都に帰る前にジャンとキャラにはどうしても会っておきたかった。
そして考えに考え抜いたヴァルは、ほんの一時だけ洞窟を抜け出すことにした。
師匠のジョナはといえば、ヴァルが七色の光を操れるようになると王宮での王の守護職を優先させるようになり、月に何度かしか洞窟へは来なくなっていた。
ヴァルは洞窟での修行の間、ジャンとキャラ、そしてすやすやと眠っていたあの子のことを忘れたことなど一度もない。
七色の光を体得してからというもの、どうしても一目会ってお礼を言いたい。体得した高等魔法で、あの子とお揃いのペンダントを七色に変える所を見てもらいたい。という衝動に駆られるようになった。
その思いは日に日に増すのだが、ヴァルはあの時交わしたジョナとの約束を破ることにはなるのではと、会いに行くことをためらっていた。
しかし、『今後一切ティア以外の女を想うなど言語道断!』というジョナの言葉には、明らかに違反している。想うだけならこの約十年、ずっと眠り姫を想い続けているのだから。
ほんの数分間寝顔を見ただけの名前も知らない少女のことが、どうしても脳裏に焼き付いて離れない。ティアとは違うあの子への想いが、どうしても断ち切れない。
多分、そう遠くない将来、自分とティアは見習いを卒業し守護長として王都へ召還されるだろう。そして、ティアと結婚。だからあの子に会うのは叶わなくても、王都に帰る前にジャンとキャラにはどうしても会っておきたかった。
そして考えに考え抜いたヴァルは、ほんの一時だけ洞窟を抜け出すことにした。

