『単刀直入に言おう。僕はお前達ファミリーを恨んでいるんだよ、ドン・ローサ。フィンランドからの旅行帰りの僕達を突然襲ったのは、お前達の傘下に入っている奴らだった。
……お前の父親が指揮したかどうかは知らない。だが、下への管理が行き届いていたら、こんなことにはならなかった筈だ。』



 奴の話は、父親から聞いた話そのものだった。群の腕の中で、アタシは白スーツの男の一言一言に耳を澄ませる。フランシスコが突然、アタシを睨む視線の鋭さを増した。反射的に群のスーツの袖を掴めば、怒り狂ったソルの末裔が降槍の如く言葉を吐き出す。



『お前の先代は図太いのか腰抜けなのか、一体どっちなんだ!?僕の両親や部下達を殺しておいて十年もボスを続けたクセに、突然引退しやがって!!
おまけに跡継ぎは女で、しかも日本人の血が混ざってるだと!?過去に韓国併合なんかをやった忌まわしい国の血を持ったお前が頂点に立って良い訳がない!!僕は絶対に認めないぞ!!』



 奴の言い分は正しい。父に退任した理由をはぐらかされて、アタシも聞かされてはいないのだ。奴が言った母方の祖国のことも、確かに正しい。

 ――だけど、コイツの言葉には憤る部分がある。