――“ジョバンニ”は、ヴィーニャ・ヌオーヴァ通りの近くにある。周辺にはルイ・ヴィトンやエルメスなどのブランド店が集結しており、貴婦人達やカップルが優雅にショッピングを楽しんでいる。

 邪魔にならない場所に車を止め、通りを歩いているのは群とアタシ、エンゾさんとガルシア、グレイとソニアの六人。群の残りの部下達は、大人数で行くと目立ちすぎるからということで留守番をしてもらったのだ。



「あいつらには、またいつでもごちそうしてやれるからな。お前らはたまにしか来られないだろ。食いたいもんは遠慮せずに頼めよ。」



 群は今言ったことをスペイン語で言い直して、『この時間帯は空いてる筈だから、ゆっくり出来るだろ』と付け加える。何を食べるかという話に花を咲かせていたソニアとグレイも、時折美しい街並みに視線を向かわせていたガルシアも、小さく頷いた。



「……流石、芸術の街よね。街全体が一つの絵画みたい。」

「あぁ。俺も初めて来た時は驚いたぜ。空の見え方が日本と全然違うって思ったな。」



 微笑を浮かべ、セルリアン・ブルーの空を仰ぐ棕櫚の瞳。見慣れない私服姿の彼が、その瞬間だけは、“ただの男の人”に見えた。