『……おい変態秘書。解雇されたいの?』

『言葉使いは丁寧か汚いかのどちらかにして下さいよ。』

『あぁそうかよ。本当に解雇すんぞこの野郎。』

『そんな言葉使いをされては旦那様と奥様が悲しまれます。』

『アンタがどっちかにしろっつったんだろーが。』



 グレイが『ボスとガルシアの間に青い炎が見えるな』と呟いた。その隣では、ソニアが冷ややかな目でガルシアを見ている。それに気付いたガルシアは『わたくしは回りくどい言い方が嫌いなだけです』とニヤリ。直後、アタシに顔を近付けてきて小声で尋ねた。



『……で、どうするんです?奴ら。』

『決まってるじゃない、からかってくるのよ。それにアイツら、何処かで見た覚えがあるわ。』



 ガルシアが深い深い溜め息をつけば、他二人は楽しそうにクスクスと笑った。



『ボス、自分の美貌を安易に晒すんじゃねぇぞ!』

『ほんと。相手がノックアウトするのを楽しむなんて、ボスも随分人が悪いわね?』

『あら、婚約者が居る身でそんなことしないわよ。』



 ガルシアの『結果的に楽しんでるくせに……』という小言が耳に入ったけど、聞こえないフリ。アタシは颯爽と席を立った。