「…天音さん?」

「あーっ!私提出しなきゃいけないのがあったんだった!」



逃げる方法と言ったら…これしか無い。



多少、無理矢理感はあるけれど今の私にはこの方法しか思いつかなかった。



いや、正しく言い直せば…



気持ちに焦って、いつもの調子が出なかったんだ。



成宮と逆の方向に身体の向きを変え、そのまま歩き出す。



でも……



「ちょっと天音さん!」

「わっ、」



腕を掴まれては後ろに身体ごとグイッと引き寄せられ、
成宮の胸板に背中が密着するような形で当たった。



ちょっと待ってよ…。



ち、近過ぎるんだけど…!!



成宮の制服の香りに頭が可笑しくなりそうだ。



しかも成宮って意外と力強い…?