その様子を見ても尚納得のいかない瑠華は理解に苦しみ溜息を漏らす。



『独身』には分からねぇ…



只一つ理解出来た事は_




「でも御前、自分じゃ気付いてないかもしれないけど…少なくとも水谷さんと会話している時、いつもの冷静さを失って取り乱してる様に見えたぜ。」

「………!」



思わず瑠華の言葉にハッとする。



「まぁ、長い付き合いだからな、御前とは。

以前はもう少しうるさかったっつーか…感情的だったっつーか…」



そっか…




私アイツが居ると『戻る』んだ、『昔』の様に…_




「俺らの中じゃ一番、笑ったり泣いたり怒ったりしてた。」




そう言って瑠華は静かに笑うと釣銭が放置されているテーブルへと向かった。



「この金使って良いよな、どうせ受け取る気無いんだろ?

呑もうぜ香音、今夜はとことん付き合ってやるよ。
あ、灰皿借りんぞ。」



ぶっきら棒に言う瑠華の背をしばらく見つめ、香音は少し考え紫色の煙を吸ってゆっくりと吐き出した。