「斉藤さんも、......ありがとう」
「なにが?」
またいつものように自己嫌悪に陥ってると、渡辺くんから意外な言葉をかけられて、ぱっと顔をあげる。
「今朝の。......嬉しかった。
あんな風に言ってもらえるなんて思わなかった」
「今朝の?」
「一部の人は分かってくれても、学校では普通の振りしてないと、浮く。
だからずっと隠してたけど、本当は.......、
本当の自分を分かってほしかったんだ。
女子は好きになれないのに興味がある振りをするのも、彼女がほしい振りをするのも嫌だった」
「......うん」
分かるよ、と言おうとして、言うのをやめた。
きっとたぶん私は、渡辺くんの気持ちを半分も分かっていないから。
だから言えないけど......、でも、分かるよ。
みんなから浮きたくなくて、普通の振りしてる気持ちも。
必死で普通の振りをしながらも、本当は、普通ではない自分、本当の自分を認めてほしい気持ちも。
「なにが?」
またいつものように自己嫌悪に陥ってると、渡辺くんから意外な言葉をかけられて、ぱっと顔をあげる。
「今朝の。......嬉しかった。
あんな風に言ってもらえるなんて思わなかった」
「今朝の?」
「一部の人は分かってくれても、学校では普通の振りしてないと、浮く。
だからずっと隠してたけど、本当は.......、
本当の自分を分かってほしかったんだ。
女子は好きになれないのに興味がある振りをするのも、彼女がほしい振りをするのも嫌だった」
「......うん」
分かるよ、と言おうとして、言うのをやめた。
きっとたぶん私は、渡辺くんの気持ちを半分も分かっていないから。
だから言えないけど......、でも、分かるよ。
みんなから浮きたくなくて、普通の振りしてる気持ちも。
必死で普通の振りをしながらも、本当は、普通ではない自分、本当の自分を認めてほしい気持ちも。


