みんなみたいに上手に生きられない君へ

みんなも、そこまで悪気があって言ってるわけじゃないと思う。その場のノリみたいなのもあるし。

それに、私だって渡辺くんと仲が良いってわけでもない。



「で、でも、まだ不倫って決まったわけじゃないよね?」



だから別に渡辺くんをかばうわけじゃないけど、私自身がこの空気が嫌だったから反論せずにはいられなかった。



「そうだけど~。もし不倫だったら、幻滅だよねって話」

「もし不倫だとしても何か事情があるのかもしれないし......。純愛かもしれないし......」



たしかに不倫はいけないことかもしれないけど、そこにどんな事情があるのかなんて結局は本人にしか分からないのに、関係ない私たちがそんなに叩くことかな?



「もうよくない?この話」

「まだ引っ張るの?」

「不倫で純愛ってどんな?」

「どんなって、分からないけど、先生の旦那さんがひどい人で渡辺くんが相談にのってるとか......。
とにかくそういうのは本人たちにしか分からないことだから......」



だんだん自分でも何が言いたいのか分からなくなってきたけど、他の四人のうち二人は飽きてるというか呆れてる感じだし、残りの二人も意味不明って顔で私を見てる。

そんなに私おかしいこと言ったかな?