みんなみたいに上手に生きられない君へ

「ごめん!本当のこと言うと、最初ちょっとだけ引きました!ごめんなさい!ちょっとだけだからな?

だけど、授業中もずっと考えてたんだけど、好きになるのが男か女かの違いぐらいで、そんなにたいした問題でもないよな。いや、たいした問題かもしれないけど.......、でも俺と圭佑が友達でいるのには、それって関係ないと思うんだ。
俺のことが好きとか言われたら、そりゃ対応に困るけど、でもそれは女の友達でも同じことだし......。

とにかくハイタッチもできるし、これからも友達だ。なんならキスもできる!」

「ええ!?キス?」



前田くんに任せようと見守っていたけれど、また突然ガバッと頭を下げた前田くんの発言に驚いて、思わずまじまじと前田くんの顔を見てしまった。



「は?なんで俺が和也とキスしなきゃいけないの?気持ち悪い。
男なら誰でもいいわけじゃないけど。
逆にバカにしてるだろ、それ」



口調はきついけど本気で怒っているというよりも、どこか呆れたように前田くんを見る渡辺くん。

冷めている渡辺くんに、前田くんはどこまでも必死だ。



「俺だって嫌だよ!
本当にするとかそういうのじゃなくて、それくらいの勢いでってことだよ!それくらい、圭佑が大事だし失いたくないってことだ!」

「......。
意味がよく分からないけど、なんとなく言いたいことは伝わってきた」



渡辺くんは両手で覆うように顔を隠すと、それから、ありがとう、と絞り出すような声で言った。