みんなみたいに上手に生きられない君へ

空気が、重い。  

ここにくるまでは、渡辺くんのことについて色々話しながらきたけど、今は一切会話ナシ。

壁時計のカチカチという音だけが異様に響くなか、入れてもらった紅茶をひたすらゆっくり飲む。


ここまできて会えないのは残念だけど、いつまでも居座るのも申し訳ないし、渡辺くんのお母さんがリビングに戻ってきたら、もう帰った方がいいかもしれない。


そんなことを考えながら気まずい時間を過ごしていると、渡辺くんのお母さんが戻ってきた。



「どうぞ、上がってください。
あの子急にやっぱり会うって......」



え?さっきまで会わないっていってたのに、一体どんな心境の変化が......?

先生からの手紙に何か書いてあったのかな?

用があればメールですんじゃうけど、やっぱり手紙って心がこもってるような気がして、もらったら嬉しいし。
 

何にしても会う気になってくれたことはありがたい。
 
前田くんと顔を見合せてうなずくと、彼の後について階段を上がった。