みんなみたいに上手に生きられない君へ

運動場側最後列の渡辺くんの席をこっそり横目で見る。

ぽつんと空いてしまった、渡辺くんの席。


渡辺くん......、あんまり思い詰めてないといいけど......。

この前も、信頼して打ち明けた親友に裏切られて、周りに同性愛者であることをばらされてしまった高校生が自殺した事件があったばかりだし......。

......。

ま、まさか、渡辺くんに限って、自殺なんて......って言えるほど、そこまで渡辺くんのことを知らない。


いつの間にか黒板の半分くらいに板書されていたことを機械的にノートに書き移しながらも、頭の中は悪い想像ばかりが浮かんでくる。


......なんかだんだん心配になってきた。


ちょっと渡辺くんにメールして......、......あ、渡辺くんの連絡先知らないんだった。

前田くんに聞こうにも、もちろん前田くんの連絡先も知らない。休み時間に、みんなの見てる前で、前田くんに話しかける勇気も、もちろんない。