みんなみたいに上手に生きられない君へ

「いきなり彼氏とか言われても、は?って思ったし、これからあいつとどう接していけばいいのか分からない」


きっと悪意があるんじゃなくて、本気で戸惑ってるだけなんだろう。

苦々しい表情で顔を上げた前田くんに、そうだよねと相づちをうつ。


差別したいわけじゃないけど、傷つけたいわけじゃないけど、私だってさっきどうしたらいいのか分からなかった。

どうすれば正解なのか、どうすれば傷つけずにすむのか。



「でも、理解したいと思うし、これからも友達でいたい。圭佑が男を好きになるからって、あいつがいいやつで俺の一番の親友ってことには変わりないから」



よかった......。
前田くんがこういう風に考える人で。

まっすぐ前を見てそう言った前田くんに、心の底からほっとした。



「うん......。
でもそう思ってるなら、本人にそう言ってあげた方がいいかも。前田くんを責めるわけじゃないけど、さっき男子が誰も味方してくれなくて、.....その、かなり傷ついてたみたいだから」



もちろん前田くんが悪いわけじゃない。

だけど、ずっと仲間としてやってきたサッカー部の人たちや、親友の前田くんでさえかばってくれなかったことに、渡辺くんはかなり失望、というかショックを受けているみたいだった。


あの、女子から憧れられていて、いつもクールな渡辺くんが、取り乱した姿。

誰も受け入れてくれない。
犯罪者みたいな目で見られた。

悲痛な声でそう言ったのが、今も耳にこびりついている。