みんなみたいに上手に生きられない君へ

「?どうかしたの?」  

「それがさ、こいつらがお前がゲイだとか意味不明なこと言ってるんだよ。違うよな?」 

 

前田くんがゲイという単語を発した瞬間、渡辺くんが息をのむのが分かった。


男子も女子も、完全によそよそしい空気。

渡辺くんと仲の良かった男子たちでさえ。

それを見守ることしかできない私。


ああ、もう、もう、やめて......。

人のことなのに、もうこの場にいるだけでつらい。
 

渡辺くんはしばらく黙りこんでいたけど、男子たちの顔をちらっと見たあとに、観念したようにゆっくりと口を開く。 



「......本当だよ。
俺は、ゲイだ」 



そんなに大きい声ではなかったけど、はっきりとした口調で渡辺くんはそれを言った。