みんなみたいに上手に生きられない君へ

珠希ちゃんと話していたら、あっという間に時間が過ぎていたらしく、チャイムの音でハッとする。

......もう1時間目終わっちゃったんだ。

次の授業は、数学だっけ。


うちの学校は、保健室のベッドを使えるのは、一日1時間まで。

それ以上休みたい場合は、早退もしくは病院に行くというルールがある。


......戻らないと。


珠希ちゃんとベッドの外に出ると、すでに他のベッドのカーテンは開いていて、空っぽ。

私たちが一番最後だったみたい。


先生にありがとうございました、と挨拶して背を向けると、待ってと引き留められたので振り向く。



「斉藤さん、......だったよね。
もし何かあったら、いつでもきてね。
休み時間が来づらかったら、朝でも放課後でもいいから」



何かって、何だろう。

先生はあなた問題あるからきなさいと強制することも、問いただすこともしない。

ただふわりと優しくほほえんでいるだけ。