みんなみたいに上手に生きられない君へ

前田くんは憧れの人だけど、私が前田くんと親しくなるなんて絶対ないと思うし、想像さえもできない。

実際同じクラスになっても、ほとんど会話さえしたことないし......あ、でも。


「特に何もないけど、今日おはようって言ってくれたんだ」



今朝は友達に言われたことがショックでそれどころじゃなかったけど、あの時おはようって言われたんだ。

前田くんに挨拶してもらっちゃった。

たった一言言葉を交わしたことを思い出しただけで、嬉しすぎて、自然と笑顔になってしまう。


そんな私を、珠希ちゃんは呆れたような目で見ていた。



「つっきーさぁ......。
もっとガンガン押してかないと、誰かにとられちゃうよ?」

「え、う、でも、芸能人への憧れみたいなものだから、付き合いたいとかじゃないから、大丈夫。
話しかける勇気もないし......」

「え~、メンドクサイなぁ。
なんかイライラする」



珠希ちゃんは唇をとがらすと、すねたようにそう言う。


メンドクサイ、イライラする。


珠希ちゃんにまで、言われてしまった。

やっぱり、そうだよね......。