みんなみたいに上手に生きられない君へ

もう、消えてよ。
いい加減に消えて。


何で授業中にまで、こんなこと考えなきゃいけないの?


何度頭の中のザワザワを消そうとしても、無理に違うことを考えようとしても、いつもこのザワザワは消えてくれない。

何でいつも、こんなに不安で不安でたまらないの?



「おいおい!そこは人間じゃなくて、入り口だよ!
一体どうしたら、人間なんて読めるんだ。しっかりしてくれよ」



なに、人間......?



「和也、相変わらず本読むの下手だよな!
入り口を人間って間違えるやつ、いなくね?」



呆れたような先生の指摘に、前田くんの声が止まると、すぐに前田くんをからかう男子の声が聞こえてきた。


一瞬意識が戻って、教科書を読んでいた前田くんを見る。

私の席からじゃ前田くんを見ても、後ろ姿しか見えないけど、前田くんはなぜかすぐに笑い声を上げた。