みんなみたいに上手に生きられない君へ

映画館のある三階から、レストラン街のある一階はすぐなんだけど、なんだか長いようなあっという間のようなよく分からない時間だった。



「何が食べたい?」 



今日は平日だけど、夏休みだし、お昼の時間帯ということもあって、そこそこ混みあっている。

パスタやラーメン和食、他にも色々あって、わりと何でもあるけど......。


正直食べるものよりも、繋がれたままの手が気になってそれどころじゃない。

夏になって日焼けした和也くんの大きな手。
ぎゅっと繋がれたままの手にドキドキして、何も考えられない。



「私は何でも......。

......ごめん、その前にちょっとトイレ行ってもいい?」

「うん、じゃあここで待ってる」



和也くんは手を離し、笑顔で手を振る。

ようやく離された手にほっとしたような、さみしいような複雑な気持ちになりながら、トイレを探した。