みんなみたいに上手に生きられない君へ

「......ごめん、字幕は苦手なんだ」



......アメリカものや、ラブコメが苦手なんじゃなくて、字幕が苦手?

いつもみたいに、にかって感じの見てる方が気持ちいいくらいの笑顔じゃなくて、どこか困ったように笑う和也くん。


......そっか、私は演じている俳優さんの声も含めて聞きたいから、吹き替えの方が苦手なんだけど、逆の人も当然いるよね。

字幕だと入り込めないとか、やっぱり日本語で聞きたいとか。



「......実は俺、」

「そうなんだね。吹き替えはないみたいだし、違うのにしよっか。これなんてどうかな?」



せっかく見るんだから、苦手なものより楽しめるものがいい。

今度は漫画が原作のものを指差す。
これなら始まる時間もちょうどいい。

和也くんも笑顔でうなずいてくれたけど、今声がかぶったような?



「いいね、そうしよう。......ごめんな」

「......あ、の、ごめん、今何か言いかけてなかった?」

「あ~......どうでもいいことだから大丈夫。
チケット買ってくるよ、飲み物頼んでいい?」


和也くんは結局私の分までチケットを買ってくれた。

チケットより飲み物の方が明らかに安いと思うんだけど、......良かったのかな。