みんなみたいに上手に生きられない君へ

さっきまで噂話をしていた前田くんと渡辺くんが教室に入るのを見送ると、私たちも自然と教室に入る流れになる。



「月子?入らないの?先生きちゃうよ」



さっさと教室の入り口に向かうみんなを見ても、一人足を動かせずに固まっていると、声をかけられ、ようやく我に返る。



「あ、うん。だよね、入る入る」



......。

さっきまで前田くんや渡辺くんの噂をしていたことも、私がメンドクサイって言われたことも、まるで何もなかったかのように、みんな普通だ。


私が気にし過ぎなのかな、色んなこと。

みんなに悪く思われたかな、とか、そんなに気にする必要はないのかも。


いや、どう考えても気にしすぎだよね。

別にただの世間話、さらっと流すことなんだ、きっと。


いつも私はちょっとしたことに囚われて、一度考えはじめるとなかなか抜け出せなくなる。


こんなささいなこと、いつまでも気にしたくないのに......。

本気で私、メンドクサイ人間だ。


ちゃんとしなきゃ、普通にしなきゃ。
みんなと同じように、気にしてませんって顔して。


ドンヨリした気持ちを振り払うように作り笑顔を作って、教室に入った。