みんなみたいに上手に生きられない君へ

「みんなが間違ってるって言ってるわけじゃないよ。
さっきのは、ただ私はこう思うって、私の意見だからね?」



誰も同意してくれずになんだか微妙な空気になってしまったので、付け足すようにそう言ってみると、肩をすくめて苦笑いを返された。



「月子ってたまにメンドクサイよね」

「分かる、すぐムキになるよね」



笑いながら冗談のように言われた言葉。

きっとそこまで深い意味なんてないはず。
......ない、よね?



「別にムキになってるわけじゃ.....」



だけど、言われた言葉になんだか動揺してしまう。

私また失敗した?また嫌われた?

どうしよう......何か、何か上手い返しを......。



「おはよ-!」



後ろから元気な声が聞こえてきて振り向くと、笑顔で大きく手を振る前田くんと、小さく頭を下げる渡辺くんがいた。

みんなも挨拶を返すと、二人はさっさと教室に入っていく。