「ねえねえ、香月ちゃんちょっと疲れたね」
「は、はあ……」
私は、素っ気なく答えた。
妙に距離が近い男。
腰に回された手。
振りほどきたいが、我慢。
「……彼氏とかいたことある?」
「ないです、一応……」
「じゃ、処女?」
はあ、早く帰りた……
え?
今、なんと?
目を点にしていると、反転する自身の視界。
あれ?
今私、押し倒さ───
「っ、いやあああ!!」
「静かにしてよ、人来ちゃうでしょ」
「っ……んむぅっ」
口を手で塞がれる。
いやいや、人来させるために叫んでるんだしっ!!
今は、そんなツッコミをしている場合じゃない。
あれ?
てか、こいつどこ触って……
え、待って。
キ モ チ ワ ル イ
「っ、んん──っ!!」
嫌だ。
やめて、触らないでっ
───────誰か、助けて。