───それから1週間後。
ガヤガヤ。
たくさんの人が、右往左往に行き交う。
へぇー、お祭りってこんな感じなのか……
「って!! なにこれ!?」
その場にいた全員が、俺の方向を見た。
恥ずかしくなり、小声でスミマセンと言うと再び行き交う人。
蓮華が、俺の背中を叩く。
「どんまい★」
「うっざ……で、なにこれ。」
「わあ〜これが、庶民の、お祭りってやつ?」
零涙が俺の言葉を無視し、オペラグラスで珍しそうに様子を観察する。
いやいや、話を聞きなさいよ。
確かに、珍しいけども!!
そんな無邪気な零涙の横で、不機嫌そうに眉をひそめる由弦。
「俗物臭いな。最悪だ」
「てか、あいつらどこだよ?」
一瞬この、パツキン馬鹿ナルシ(即席あだ名)を殺りたいと思ったが、視界にうつる男女を見ておさまる。
あれは……
「ねえ、あそこに可愛い娘いるー♪♪」
「誠名……相変わらずキャッチ早いのな……」
「可愛いけど、僕には劣るよね〜」
呆れる蓮華と、平気で自分可愛いと言う零涙。
まあ、零涙が可愛いのは当たり前なんだが。
そんなことを考えていると、「あ」という零涙の声。
振り返ると、顔を真っ青にした零涙。
「ん?具合悪いの?」
「違うけど、帰ろ」
明らかに尋常じゃない汗をかいた零涙を見て、ただ事じゃないと察する。
体調が悪いのだろうか。
彼は元々体が弱いのだから。
色々な考察が飛び交うが、焦った零涙の視線からそれらは間違いだと分かった。
零涙の目線を辿っていくと、俺が見つけた可愛い娘。
よーく、見てみるとその4人は。
「あ、恋愛チャン達だ」
「誠名っ!?」
零涙に睨まれる。
それよりも、蓮華が振り向くのが早かった。
蓮華は、分かりやすく顔を綻ばせるが直後固まる。
だって、あの4人は。
『やあ、4人とも皆可愛いね♪♪』
「え〜そうですかあ?///」
いかにもイケメンという4人の男達を引き連れて、一緒に祭りを満喫していたからだ。
これは、蓮華にはダメージが大きすぎるな。
だから零涙は、止めたのか。
零涙の方を見ると、やっちまった……と言わんばかりの表情。
俺はそんな零涙に、顔の前で手の平を合わせ、ごめんと謝る。
「まあ、いーけど。で?どうすんの蓮華」
零涙は、あくびをして蓮華を横目で見た。
もう、帰るのかな?
あーあ。
まだ居たかったなあ。
名残惜しつつも、仕方ないと心に念じた。
すると蓮華からは、再び衝撃発言。
「ぶっちゃけさ……」
「 ん?」
「俺の方がかっこよくね?」
ほんと、蓮華は想像以上のことをしてくれるよね。
俺は暫く凍りつく皆を見て、フッと笑うと蓮華の肩に手をのせた。
「…………蓮華」
「誠名?」
「あのね、蓮華」
「激しくキモイよ♪♪」
そう言って俺は彼の背中を、トントンと、叩いた。