水泳のお時間<番外編>

「んんっ…」


俺の存在に気づいているのかいないのか、

放課後の遊戯はまだまだ続くらしい。


わざと見せ付けてくるようなその行為に

しばらくして俺はその場を立ち去ると、こぶしを握りしめる。

そして深く込めるように、こうつぶやいた。



「…奪ってやるよ」



奪ってやる。

瀬戸の中の「一番」を、この手で奪ってやる。

そう思った。


大切なものを失ったとき、人はどんな顔をするだろう。


あいつ…

瀬戸は、一体どんな顔で、どんな表情をして笑うんだろうな。


そう思ったら

今まで忘れかけていた「一位」という執念に再び火がついた気がして

笑いが止まらなくなった。



待ってろよ。

――俺の春は、これからだ。



END.