【番外編】腹黒王子に秘密を握られました。おまけ

 
「付き合ってるんだから、こそこそ写真なんか眺めてないで、実物の俺を見ればいいのに」

予想外のことに、ぽかんとしながら莉央を見下ろす。

「だって。好きなモノを集めたくなるのは、グッズ沼の習性というか、もう抗えない性なんです」

「意味わかんねぇ」

「それに本物の金子さんを独り占めはできないけど、写真ならいくらでも集めて私だけのものにできるから……」

シーツに額を擦り付けたままそんなことを言う莉央に、大きくため息をついた。

「お前さぁ……」

俺がそうつぶやくと、うずくまった莉央の肩がびくりと震えた。

「ほんとあざといよな。わざとやってんの?」

「あざといって……」

ぐずりと鼻をすすりながら、莉央が顔を上げる。
その目は涙で潤んで真っ赤だった。
きょとんとしたまま瞬きをすると、莉央の目尻から涙がこぼれる。
その表情が愛おしくて、たまらずきつく抱きしめた。

「莉央、ほんと好き」

「あ、あつし、さん……」

「わざわざ写真なんか集めなくても、最初から俺はお前だけのものだっつの」

ぶっきらぼうな俺の囁きに、莉央は戸惑いながら首を傾げる。

「こんな、私みたいな変わり者で本当にいいんですか……?」

恐る恐るという口調でそう言った莉央に、抱きしめる腕を少し緩めて顔を覗きこむ。

「わ、私アニメオタクだし、腐女子だし、彼氏の写真をこっそり集めて眺めてる根暗で気持ち悪い女なのに……」

そんなくだらないことを言う唇を、キスで塞いだ。