家出3日目。



私は何故か楓と向き合っている。


朝食を食べ終え,学校に行く優を見送って何をしようかと考えてるときに,楓から『話がある』と言われた。


蜜華に紫音と鈴音を見ていてもらい,客間に入ること15分。


無意味に沈黙が続いている。



「…ねぇ,私暇じゃないんだけど。」


痺れを切らして話かけると,やっと楓が言葉を発し……かけてやめた。


分かるように溜め息をつくとボソッと楓が何かを言った。



「楓が帰りなさいよ。」


楓の口から出たのは『早く帰って下さい』だった。


誰の家だと思ってるんだろう。



「お姉さんと優…仲が良すぎると思うんですけど。」


「しょうがないじゃない。
 私,4年くらい寝てたんだもん。」


さらっとあのことを言うと,楓はポカンと口を開けた。



「ほんとよ?
 交通事故で意識不明の状態が4年続いてたの。
 疑うなら蜜華に聞いてみたら?」


あえて軽い感じで話したのは楓が内側の人間じゃないから。