「どういうことだよ、おい!!」





「いや、うん。

死んだには死んだ。

でもね、死んだ日はあの日じゃないの」





「は?」





あの日って、戒の目の前で交差点に歩いて行った日のことだよね?





陽菜さんが言ってること、イマイチわからない。





「智樹は、あの日に余命宣告をさらたんだ。

病気が見つかったときにはもう末期ガンで

余命半年持てばいいほうだって。

だからあの日智樹は、戒のところへあんなこと言いに行って

そして目の前で交差点に歩いて行った。

ほんとは死のうとしたのよ、智樹。

でもね、それを許さなかったの神様は」





そう話しながら悲しそうな顔をする陽菜さん。





やっぱりきっと、智樹さんを好きになっていたんだ。





戒のことも忘れられなかったんだろうけど、智樹さんのことも愛していた。





だから、今こうやって悲しい顔をしているんだ。