「どんな人だろ〜!イケメン来いっ!」


「頼む…美女…美女…」


あちこちで懇願の声が聞こえる。


私は、特に恋愛とか特別な感情はない。



毎日退屈しないような面白い人が来るといいな。



そう思いながら、前を見つめる。


ガラッと二回めの音が聞こえるーー。



ドアを開け、教室に入ってきたのは。



「どうも!前川駿(まえかわしゅん)です!仲良くして下さーい」


イケメン。


この言葉がピッタリだった。


何なの…このサラサラした前髪。


しかも顔立ちも完璧。オーラが明らかに滲み出ている。


女子は心の中できっとガッツポーズしてるんだろうな。


ただ……


色白だった。


そして気のせいか彼が一瞬寂しそうな表情を浮かべた気がした。


イケメンといえば、自信満々な笑顔を見せてくるイメージ。私の大嫌いな。


だからイケメンにしては珍しい。


そう思った。


私はイケメンとかどうでもいいし、絡まれても面倒だなという気持ちでいっぱいだった。


その時。


「………!?」


梨花…?


梨花は驚愕の表情を浮かべ、転校生を見つめている。