「じゃあ戻ろうか。購買行かなきゃ!
間に合わないよ!」


「あ、うん!」


お昼休みは残り8分。


梨花の手を引き、購買に走る。


-------❁ ❁ ❁-------


「ふ〜」


私達はなんとか購買に辿り着き、


私はカレーパン、梨花はサンドイッチを抱え、教室への道を歩く。


「間に合って良かったねぇ」


梨花に声を掛ける。


「ねぇ、美麗……」


返ってきたのはとても真剣な声音。


「え…?」


いつもおちゃらけてる事が多い梨花。


胸騒ぎを感じつつ、聞き返す。


梨花が口を開く。


「しゅ…前川君に何か言われた…?」


私は聞き逃さなかった。


梨花は、『駿』と言いかけていた。


やはり……


私の思ったとうり、2人には何かがあるんだ。


「な、なんで?」


ざわざわする胸を押さえ、聞く。


「……」


「……」


沈黙が流れる。


私が口を開こうとしたその時。


「ふふっ…」


梨花が、笑ったのだ。


「美麗!?」


突然の事に驚く私。


「は〜勘違いしないでよ〜美麗!
前川君が美麗にちょっかいかけてたから、告白でもされたのかなって聞いただけだよ〜」


「え!?」


あはは、と笑う梨花。


いつもの梨花……。


というより気になったのは、


『好き』


この言葉。


前川君が私の事を?


恋愛未経験の私には到底わからない事だ。


梨花……。


前川君が来てから。


何か、今まで回ってきた歯車が狂い始めたのは確かだった。