子供の終わり、大人の始まりの時期に私達は出会った。
お互いに好意を持っていた事はなんとなく気付いていたけれど、どうしたらいいのか分からなかった私達はやっぱりまだ子供だったのだろう。仲のいい友達以上になることはなかった。

進学で遠距離になってからは数ヶ月に一度の手紙の交換をした。メールやSNSではなく手紙だったのは聞いて欲しい事が多すぎたから。それと、彼だけは特別だったから。
みんなと同じツールで連絡するのがイヤだったのだ。

彼も返事をくれた。便せんや封筒はビジネス用か?とツッコミたくなる真っ白なものだったけれど、きちんと手紙でくれる返事に私は心を躍らせた。


年に数度、彼が帰省した時には2人で出かけたりもした。私はデートだと思いたかったけれど、決定的な言葉も態度もないままのそれは、とても曖昧なものだった。




でもそれがすべて。



一足先に私が社会人になる頃、そんなささやかなつながりもなくなった。