「…遥?」 展示場に戻るとそこにいたのは、元カレの木下勇馬(きのした ゆうま)だった。 勇馬と会うのは二年ぶりだった。 私が仕事一筋になったきっかけを作った張本人だ。 例の私の取引先だった会社に今も勤めているのだろうか。 「…勇馬。」 久々の勇馬の声は何も変わっていなくて少し懐かしくなった。 「遥、まだ会社辞めてなかったんだ?」 「っ…。」