「ただいまー」
家の玄関扉を開けると、テレビの音が聞こえてきて、
王子がリビングルームにいるのが分かった。
「リリー!!」
案の定、リビングルームのドアが勢いよく開き、
王子が飛びついてきた。
そして、キスの嵐。
「俺、寂しかった」
「一人にしてごめんね。
でも、そんなに色んなとこにキスしないで。怖いわ」
「怖くない」
寒いから、急いでこたつに避難すると、
王子はキッチンへ行って、いつものように
コーヒーを入れてくれた。
「ありがとう」
「バイトお疲れ様。
俺、今温泉のテレビ見てるんだ」
テレビを見ると、確かに、温泉を巡る旅番組が流れていた。
そんなに温泉行きたかったんだ…
「この温泉は、ちょっと変な色」
「本当だねー」
こうやって、王子とのんびりするのが好きだな。
どうでもいいことを話して、時々王子の
意味不明な言動につっこんで…
そして、王子のかっこよすぎる横顔を
眺めるんだ…
「どうしたの?リリー」
「ルイって、本当にイケメンだよねー。
目も宝石みたいにきれい」
「俺、イケメンじゃねぇ」
もー、何言ってんの?



