「ここらへん。
あー!あの島は夏休みに行った」
「海、近いんだね」
そっか。ルイはフランスから来たんだもんね。
地球の裏側に
ルイが育った場所があるんだよね。
「パリはあそこで、俺の町はここだから、
結構遠い」
「何時間くらい?」
「TGVで5時間くらいな」
「TGV?」
「フランスの新幹線な」
へー。そんなのあるんだ。
(天の声:あるわ!学校で習ったでしょ)
「リリーがフランスに来たら、
どこに行こうか?」
「私よくわからないから、どこでもいいんだけど」
「うーん…」
生まれてから24年、
フランスなんて縁も所縁もなかったけど
こうやって、遠い遠いフランスからやって来た
男の子と出会って、付き合ってるのって
本当にすごいことだな。
それから、今まで遠い外国だったフランスが
突然身近な国に思えてきた。
「リリーは何食べたい?」
「えっと…」
メニューはフランス語と日本語で書いてあって、
9割は色んな種類のガレットだった。
「あー、久しぶりにフランス料理食べられる。
俺、嬉しい」



